hibana

憂鬱な昼下がりの布団の中から、愛を込めて。

欠伸

 


コーヒーもワサビも平気になっちゃったことが、つまらない。

 


「苦手なんです」って顔をしかめると、それを聞いた大人は必ず「子供だなあ」って あたしを見て笑った。あたしはそれがすきだった。

「子供じゃないです」って言い返しながらまんざらでもない表情をしてたのは 子供扱いされることが嬉しかったからなんだ。

 

甘やかされているような気がして、許されるような気がして、だから、すきだった。

 

 

 

 

まだ子供でいたい。ずっと子供でいたい。戦いたくない。そんなに強くない。強くなんてなれないし、なりたくない。

 

 

 


ブックオフで漫画を売るとき、もう保護者のサインは必要ないとか、ぜんぜん喜べないよ。

夜の街を歩くとき、キャッチに「未成年なんで」って断るのが嘘になるとか、ぜんぜん楽しくないよ。

歳なんて取りたくない。若いねってちやほやされたい、若いのに偉いねって褒めてほしい、あたしのこと保護してほしい、誰や何かにずっとずっとずっと守られていたい。

弱くても良いって言ってよ。ひとりじゃ立てなくても怒らないでよ。ダメでバカでどうしようもないあたしのこと、見放さないでよ。可哀想だなんて思ったりしないでよ。あたしよりあたしのこと、信じてあげてよ。ねえ、こっち向いてちゃんと聞いてよ。あたし、おとなになるのがこわいよ。

 

 

 

 

深夜3時、そんなことを考えながら 欠伸をした。

 

 

 

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