hibana

憂鬱な昼下がりの布団の中から、愛を込めて。

告白

 

 

なんでもないようなこと。たとえば、少しのおかずで白米を食べるのがしあわせだと話してくれたこと。テレビの中のアイドルを指差して「やっぱりああいう人がすきなの?」と尋ねたら、べつに顔や身体で人を判断してるわけじゃないからなあ と呟いて困っていたこと。学校にあまり行かないわたしを サボりだとからかうわけでも、頑張りなよとうながすわけでも、それでもいいよと肯定するわけでもなく、何も言わないけど ただ 心配そうにしていること。そういうきみが、すきだと思った。

 

カミングアウトというものをした。きみはわたしの勇気を笑わなかった。むずかしいことだけど、きみはきみだよ と目を見て伝えてくれた。じぶんの知るたくさんの言葉の中からできるだけ正しい表現をしようとしてくれた。わたしは、うれしかった。わたしは普通なのだと思った。誰のせいでもないんだと 思うことができた。

 

深夜3時。帰り道。街灯の下で揺れるスカート。なんとなく思い出した、きみの安定していない右耳のピアス。なんだかわからないけど、明日はすこし 胸を張って歩けそうな気がした。

 

 

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PM4:00

 

 

良い空だったから校舎の窓から写真を撮ろうと思った、けど、安全のために網戸が開かないようになっていていちばん綺麗な景色を見ることができなかった。目の前にまばゆい光は見えているのに捕らえられずに逃がしてしまうことばかりの人生だなあと 思った。いつもちょっと届かなくて、いつもちょっと間に合わなくて、何もいいことないから死にたくなった。こんな思いばかりしていたくない。誰にも負けたくない。わたしはわたしを諦めたくない。

 

 

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諸刃

 

 

きみがTwitterで緊急避妊薬や同性婚夫婦別姓を求める人のツイートをいいねしていることを知って、なんだかおかしくなって、笑った。そういうことの大事さを理解している側の真似事はできるくせに、人のことをいじめるし 高卒は馬鹿にするし オカマという言葉は平気で使うし 女をありえないくらい下に見たりするから、きみはほんとうにスゴイ生き物だ。

 


べつに責めたり呪ったり恨んだりなんかしてないけれど、大嫌いだって叫びたい。ボロボロに傷ついて一生囚われることの不安を、絶望を、味わってほしい。後悔をしてほしい。それができないのなら、不幸になってよ。忘却は罪だよ。きみは有罪だと、こころから思うよ。

 

 

わたしの知ってる最も汚い言葉を贈ろう。怒りに任せてきみを殴ろう。

 

また、春がきて、記憶は一新されていく。

痛いのはきみだけど、痛いのはわたし。

 

 

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10月23日

 

 

わたしという人間の不器用さが、わたしは嫌いではない。

 


スカートもズボンも大好きで可愛いにも格好いいにもなりたいわたし。

赤いランドセルには惹かれずに青いランドセルを選んだわたし。

男とか女とかどちらでもないなあと思うわたし。

胸の凹凸を呪いみたいに感じていていつか取り除くことを夢見るわたし。

 

わたしはきっと、不透明

でもわたしは、わたしという人間の不透明さが 嫌いではない。

健気で真面目で馬鹿で優しくてずるくて醜くて愛おしいわたし。

 

 

 

12月13日

 

世界でいちばん安全な場所だと信じていた。きみだけの宗教になりたかった。責めても何も変わらないということは解っていて、解っている上で、それでも きみを責めたいと思った。

 

 

 

 

 

1月7日

 

 

バイト先に来たふたりの30代女性は「独身だからここで毎年ふたりで寂しくケーキを食べて過ごすのがわたしの誕生日なの、あっ、でも 寂しく なんて言ったらダメだね、わたしはこれがちゃんと楽しいから」って酔っぱらいながらあたしに言ってきて、なんだかかなしくなった。未婚か既婚か、恋人がいるか、毎月の収入がどのくらいなのか、どのくらい友達がいるか、ブランドの新作の鞄を持っているかどうか、子供にどんな習い事をさせているか、エトセトラ、エトセトラ。この人はいままでどれくらい傷ついてきたんだろう。小さなことから大きなことまで全てマウントを取りたがる誰かのせいで、誕生日さえ両手放しに喜べないなんて。

 


ただしくない、と おもった。

こんな世界間違ってるよとハッキリ言える勇気はないけど、明らかに、ただしくはないよこんなの。

 



夜衝

 

 

 

「育て方を間違えたって言われちゃったよ。正直さ、分かってもらえるってどこかで信じてたんだよね。馬鹿だった。こんな自分に生まれなきゃよかった。」

 

 

みんな違ってみんないいとかぬるい温度の言葉は今更使いたくないし、ここぞとばかりに世界平和をうたうなんて胡散臭いことはしたくないし、泣きながら電話をかけてきた大切な誰かに向かって 大丈夫だよ なんていう誰にでもできるふわっとした慰めはしたくなかった。

 


だけどいざ傷ついたきみを目の前にすると

使い古されたフレーズでもどれだけ小さな効力しかなくても無責任で雑な優しさだったとしても、いまきみに何もしない自分ではいられなかった。

無力なことは重々承知の上で、それでもどうしても救いたいと思った。

 


あたしがきみの分まできみのこと愛してあげる。

きみが誇りを持てる世界になるとあたしは信じてるし心から願うよ。

きみのこといつでも無条件に 大丈夫だよ って抱きしめるよ。

 

いっしょに泣いてもいいかな。

どんな顔でどんな言葉をかけることが正解なのか分かんないけど、あたし、きみのこと守るし、励ますし、愛すからさ、

きみがきみを許せるようになるまで いっしょに泣いてもいいかな。

 

 

 

 

 

あたしたちは別の個体として生まれた時点で永遠に分かり合えないもので、

一生をかけて歩み寄っていったとしても、100パーセントの理解はできないままなんだろう。

きみからどれだけきみ自身の話を聞いたとしても

あたしはきみの全てを正しく理解することはできないし、

それは、きみと きみの大切な人の間にも同じことが言えるわけで

分かり合うなんて、無償の愛なんて、存在しないことなのかもしれない。

 

だけどいま、きみを悲しみをわかりたいと 確かにおもった。1日でもはやく きみの痛みが和らいでほしいと心から祈った。これはうそなんかじゃない。うそじゃないから、どうか、無かったことにしないで。

ひとりだって思わないでほしいよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

なんて、一方的でごめん。やっぱりこれってエゴかな。

 

 

 

 

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